JAPAN AIRLINES

定例記者会見

4月28日、定例記者会見を実施いたしました。
会見での管財人・会長・社長のメッセージを掲載させていただきます。

日本航空 法人管財人職務執行者
企業再生支援機構 再生支援委員会 委員長
瀬戸 英雄

お忙しい中お集まりいただき有難うございます。

我々は、チーム一丸となって、日本航空を一日も早く復活させるため、過去のしがらみを断ち、積年の課題・難問の解決に正面から取り組んでいるところです。メディアの皆さまには、日本航空の再建に関して、それぞれに多様なご意見、叱咤激励をいただき感謝しております。

本日は、大西社長から、日本航空の基本戦略である路便計画とアライアンス戦略等について報告しますが、それに先立ち、管財人を代表して、日本航空の現状とこの3か月余の再建への取り組みについて報告させていただきます。

日本航空に対しては、多額の公的資金、税金が投入されたが、いまだに毎日赤字を垂れ流している、その額は5億から15億円、あるいは20億などの報道や発言がなされています。
この情報は、債権者、従業員はもとより、利用客、広くは国民の皆さまに大変なご心配を
おかけしておりますので、まずは、現時点における支援内容と財務の状況について報告いたします。

日本航空の再生支援に際し、政投銀及び機構による緊急対応のための融資枠として6,000億円が設定され、1月19日前後に貸付が実行されております。現在の残高は、政投銀2,250億円(うち1,000億円は機構の債務保証付き)、機構800億円、合計3,050億円です。
なお、政投銀は、このほかに昨年11月150億円、12月400億円、合計550億円のつなぎ融資を実行しています。

更生手続開始日の1月19日は、このような融資枠を設けて万全の資金対策を講じたこと、また政府による支援表明がされたこと、それから何より現場の従業員を中心とする整然とした対応によって、不測の事態で利用者に迷惑をおかけすることもなく平穏に安全な運航を確保でき、また取引先とのトラブルも発生することなく従前どおりの取引関係を維持することができました。
後に述べるように営業収支が改善されてきているところから、1月の緊急融資額はほぼ手元に残っております。赤字の垂れ流しで資金が底をついているというのは全くの誤報です。これに加えて、融資枠として、現在なお2,950億円が残っていますが、当面は、追加的な借り入れの必要性はないと見込んでおります。

ところで、これらの融資金について、「その使途を制限すべきである」とか、「公的資金を供与された会社の業務には制限を加えるべきだ」などの発言がなされているようです。中には、社員に対し、「お前たちは税金で喰わせてもらっているのになんだ」などの心無い言葉をおっしゃられている方もいるようです。
この席で改めて申し上げることもないでしょうが、一般に公的資金の供与といわれる破綻した金融機関などに対する金銭贈与や劣後ローンの提供などの優遇的な資金供与と今回の融資とは、まったく性質の異なるものであることをご理解いただきたいと思っております。
政投銀は、国100%の株式会社ですが、金融機関として、各種の保全措置を講じた上で、リスクに見合った金利を取って貸付しているものです。また、半官半民の組織である機構は、金融市場から調達した資金を機構の設立目的である企業再生のため日本航空に貸付けているものです。
もとより、機構の企業再生のための資金は、政府保証付きで調達しておりますので、最終的な国民負担が生ずることのないよう効率的な運用をしなければなりません。これらの資金を有効に使って、日本航空の事業価値を高め、投資・融資した資金を確実に回収できるようにするのが我々に与えられた任務です。そのために我々が社内に入って、日本航空の経営改善を進め、一刻も早く強靭な会社に作りなおすようにしているのです。

従いまして、税金を投入したという表現は誤解を招きやすい表現ですし、公的な機関による融資であるということだけで、使用の制限された資金であるとするのも乱暴な話です。

日本航空の営業収支は、この1月、2月は、赤字ではありますが、更生申立時想定からすると、大幅に改善し赤字幅を圧縮することができました。また、3月は単月で僅かではありますが、中核会社である日本航空インターナショナル単体で営業利益の黒字を達成できました。
国際旅客事業では、供給を大幅に縮小(前年対比▲22%)しましたが、旅客数減少は▲6%に留まり、搭乗率は前年比14ポイント向上して81%となりました。また景気回復に伴うビジネス旅客の増加もあり、燃油サーチャージ等を除く実質単価も前年対比5%上昇しております。加えて国際貨物も需要・単価共に大幅に前年を上回るなど、国際線の収益性は大きく改善しています。
国内旅客事業は供給減により需要減・減収となっておりますが、個人単価は前年を維持するなどマーケット動向は回復傾向にあります。
これに加えて、販売管理費・共通経費を中心にした削減努力により、費用面でも想定を上回る改善となりました。また、営業収支の改善に加えて、運航維持のためのデポジット支払等一時的な支出が減少したこと等により、3月はキャッシュフローも黒字化しております。
その結果、日本航空インターナショナルの3月の実績は、キャッシュフローで269億円の黒字、営業利益でも16億円の黒字を確保しました。

本年1月19日、企業再生支援機構は、日本航空と主要金融機関の連名による支援要請を受け、その再生支援を決定しました。その日から我々はJALビルに常駐し、再建へ向け徹底した構造改革に取り組んでおります。まずもって、急ぎやらなければならないのは、新経営陣の選定と費用項目の見直しによる赤字垂れ流しといわれた状態の止血措置でした。
それから10日余り。稲盛会長と大西社長による新体制は、2月1日に発足しました。直ちに、経営改革のため20のプロジェクト分科会を立ち上げ、抜本的な改革に着手しました。

安全で安定的な運航をまずもって第一義としつつ、20に及ぶ分科会※の取り組みを通じて、経営改革を着実に進めて、危機対応力ある経営体質の実現に向かっております。
このプロジェクトは、スピード感をもって同時並行的に作業を進めておりますが、その進捗状況を毎週、各プロジェクトリーダーが一同に集まり確認・点検することで再建作業が着実に前進するよう努めております。

※分科会:経理改革、経営管理体制改革、航空政策対応、足下収入確保、路線見直し(最適化)、航空連合戦略(アライアンス)、貨物事業再編、ヘッジ対応及び燃油調達改革、退役予定航空機処分、特別早期退職、子会社再編進捗管理及び子会社売却・統合、調達(燃油以外)改革、施設改革、年金制度改定、コスト構造改革(整備、空港、旅客営業)、安全推進、航空事業基本戦略及び生産体制改革、マーケティング・営業改革、人事制度改革、ITシステム刷新

この分科会の活動については、時間の関係上、逐一説明することはできませんが、今後も取り組みのスピードを緩めることなく、鋭意、経営改革を進め、危機対応力のある経営体質の実現を目指します。

また、これらの取り組みを経て、各部門、現場の末端までが収益に関する意識を常に持つための抜本的な全社的な組織の見直しにも着手しております。収益を極大化するための経営の方針が迅速に反映される経営運営体制の構築です。すでに基本的な方針は固まりましたので、これから細部をつめ、やる気のある社員を抜擢し、適材適所に配置することを行いたいと思っております。

大西社長をはじめとする新役員がこれらの改革に必死で取り組むことは当然でしょうが、稲盛会長には、彼らにも増してエネルギッシュに連日の会議をこなされ、きめ細やかに指導いただいております。当初、3日程度の出社という約束で会長職をお引き受けいただきましたが、京都と往来しながらも、週日の大半、時には休日返上でロングランの会議にも参加いただき恐縮している次第です。

路便及び機材の見直しと適正な事業規模については、金融機関等の債権者を含む利害関係人、国土交通省、各自治体から、様々なご意見、問題によっては相対立するご要望を頂戴しております。
とりわけ、主要債権者である金融機関とは、定期的に協議を重ね、情報について共有を行っているところです。一部報道では、「銀行団」との対立があるかのように伝えられておりますが、我々としては銀行団とは何なのか、何をもってそのような報道をされるのか、いささか戸惑うばかりです。
私どもがお話させていただいている金融機関の方々は、現状の進捗に理解を示し、むしろ様々な有益なアドバイスをいただいております。我々機構がこの支援をしているのは、金融機関からの申し入れを受けて支援したのであって、緊密な連携を保ちながらこの手続きを進めているわけであります。もとより、賛否は更生計画における具体的な数字が示されてからと仰っていますが、それはお立場上もっともなご意見だと承っております。これからも引き続き、緊密な連携を図って行く所存です。

日本航空は、地域と地域、地域と世界を翼で繋ぐことを使命とする会社です。飛行機を愛する人々が、かつてはナショナルフラッグキャリアという誇りをもって集まった会社です。
今回の事業規模の縮小に伴う特別早期退職によって、残念な思いを抱きながら、志半ばで会社を去る人も少なくありません。残る人たちにとっても、厳しい道程が予想されます。
それでも、明日に夢を抱ける人達が力を一にし、この会社を一日も早く経済的に再生させることができれば、再び世界の航空事業のリーディングカンパニーに復活できると考えております。そのためのお手伝いをするのが、我々のミッションです。

時間の関係もありますので、私からの報告はこの程度にして、引き続き大西社長から路線計画など具体的な事業報告をさせていいただくことにします。

日本航空 社長
大西 賢

本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。

私も社長に就任してから3ヵ月が経過しました。稲盛会長、管財人のご指導の下、一枚岩となり全力で再生に取り組んでいるところです。

管財人の瀬戸委員長の挨拶と重複し恐縮ですが、国会、国交省や金融機関、広く社会の皆さまには多大なご迷惑とご心配をおかけしていますこと重ねてお詫び申し上げます。
あわせて、報道機関の皆さまをはじめ関係の皆さまが、当社の再建を常に注意深く見守っていただき御支援くださることに心より御礼申し上げます。
皆さま方の声を、真摯に、謙虚に受け止め、当社の早期再生の原動力とし、更生計画の策定のみならず、更生計画を待たずしてできることは積極的に実行に移し、早期に再生を果たす、これをお約束します。

まず、報告事項、皆さまのお手元の資料にある2点についてご報告させていただきます。そのあと数点、資料にはありませんがご説明、ご報告をさせていただきます。

まず当社の路線計画についてご説明させていただきます。

これまでも当社は適正な事業規模の構築のため、路線運営の見直しに努めてきましたが、この度、国際線で15路線、国内線で30路線を新たに運休させていただきます。 当社の路線は08年度と比較して、供給ベースで国際線で約4割、国内線で約3割の減少となっております。路線数ベースでは国際線、国内線ともに3割減となっております。

航空路線の維持は移動手段のみならず、経済の発展や人々や文化の交流にも大きく寄与する社会的なインフラであると考えています。
それらの発展を停滞させてしまう懸念がある路線の運休は決して好ましいことではなく、また、公共交通機関として、一旦ご地元に根を生やしたら、その根を自ら抜くということは、本来、避けるべきことと考えています。
しかし、当社の現状を認識すれば、これを避けては再生自体が極めて困難な状況となり、その結果、ご支援いただいている多くの関係者の皆さまへ多大なご迷惑をおかけすることになってしまうとの思いに至り、斯様な状態を回避すべく今回の路線計画を策定しました。これまで、不採算路線でありながら、長い歴史の中で運航し続けた路線もありますが、早期再生には今回計画した路線も含めた対応が不可欠と考えます。

この度の路線計画を柱に、今後もいかなるイベントリスクにも耐え得るスリムで筋肉質な体質へと変わってまいります。
各地元の方々においては、大変なご迷惑をおかけすることとなりますが、何卒ご理解いただきますよう伏してお願いする次第でございます。

他方、羽田空港の再拡張に伴い、羽田空港発着の国際線を増便・開設いたします。申し上げるまでもなく、利便性の高い羽田空港を戦略拠点と位置づけて、国際線の運航便数を現在の1日5便から約3倍の1日14便に大幅増便します。また、出発・到着ともに利便性の高い昼間帯の近距離アジア線の増便に加え、深夜早朝の発着枠を活用してサンフランシスコ、ホノルル、パリ、バンコク線の開設を予定しています。成田・羽田双方と海外とのアクセスを増強することにより、お客さまの利便性の更なる向上を目指し、強固なネットワークを構築して参ります。

ご存知のとおり、本年3月5日から4月16日まで、社員の特別早期退職を募り、この度、退職者数が確定いたしましたので、ご報告申し上げます。

地上職、客室乗務、運航乗務員、全ての職種において、部長級・次課長級・一般職あわせた退職者がありその数は合計で約3,610名となりました。

先ほどご報告した路線計画を以て適正規模の路線運営を行うに当たっては、併せて人員規模の適正化も不可欠となります。これまでJALのために一緒に働いてきた仲間のことでもあり、また、退職される方の中には、入社後に私自身がお世話になり共に汗をかいた方も多く、本当に耐えがたい痛みを感じています。

しかしながら関係者の皆さま方に最後のチャンスを頂いただいているわけですから、私はこの痛みを全て受け止めた上で、この痛みを乗り越え早期再生に全力を注ぐ決意です。

また、この路線計画に基づけば、機材の退役の更なる促進、それにともなう人員削減計画の深堀を行うことも視野に入れて、今後検討しなければならないものと認識しています。

一部では、特別早期退職者の応募人数が多いこと、職種による応募人数の偏りにより、運航に支障が出る懸念もあるとの声もありますが、特別早期退職の実行については運航維持を前提に行っており、加えて、路線計画では縮小の方向にもあることから、安全運航に支障を及ぼすということは決してないことも報告しておきます。

次に、社員の意識改革についてお話させていただきます。
社長に就任後、私は、当社の確実な再建に向け、安全運航の堅持を大前提としつつ、安全の堅持と採算性の重視という両面の視点を持ち、徹底した構造改革に取り組んできておりますし、これからも取り組んでいきたいと思っております。具体的には、路線の最適化やアライアンス戦略、固定費の削減に資する機材や施設の見直し、調達の見直し等多岐に渡ります。

このような中で、意識改革、構造改革の目玉として、意識改革推進準備室という組織を5月1日に発足させます。これは、構造改革ひいては再生計画を実施するのは社員であり、いくら立派な計画が出来てもこれを実行する社員の意識が変わらなければならない、との考えに基づき社長直轄組織として立ち上げるものであり、社員が持つべき意識や価値観を検討、整理し、社内に共有することを目的とした組織となります。

次に、至近の状況について簡単にご報告させていただきます。

今月7日にアメリカのロサンゼルスでワンワールドアライアンスの社長会に初めて出席いたしました。

ワンワールドアライアンスを構成する航空各社の社長同士が、現時点のアライアンスの状態、今後のアライアンスの方向性について議論できたことは、大変有意義であり、また、大変価値のあるものであることを実感しました。

アメリカン航空とは、先月も申し上げましたが、経営のノウハウ共有を目的とした会議を既に立ち上げ、経営企画、調達、整備など部長クラスを筆頭に計11チームを、先月から現地への派遣を開始し、現在においても継続的に両者間でのノウハウ共有を進めているところです。ロサンゼルスでアメリカン航空のアーピーCEOと直接会い、このノウハウ共有の進捗と今後について、加えて、今後の日米間の空の状況を左右するATIの申請状況などについて、確認してまいりました。アーピーCEOも非常に前向きで、今後提携関係をより深めていこう、という認識で一致しました。

また、ブリティッシュエアウェイズとは、ロンドンヒースロー空港での同一ターミナルへの移転やラウンジの共用、以遠区間におけるコードシェア便の更なる拡大、乗り継ぎ利便性の向上などをウォルシュCEOとも確認し、両社の関係を更に緊密に深くすることをこの場においても確認したところです。

これまでもワンワールドアライアンスに加盟していましたが、残留を決定したことを機に、当社の役割を再認識し、過去のアライアンスに対する取組みを改め、当社のもつネットワーク・強みの全てをワンワールドアライアンスに投下し、かつ他社資源を有効活用することで、日本のお客さまにも愛され、且つ強いアライアンスネットワークの構築を実現させます。

ワンワールドアライアンスを「厳選されたメンバーによる高品質なアライアンス」であるというイメージを広く深く浸透させることにより、当社のみならずワンワールドアライアンスの競争力強化、低迷する航空需要の底上げ、すなわち世界経済の底上げに寄与するものと確信しています。

本日からGW期間と位置付け、先日21日にGWの予約状況を発表させていただきました。

今年は曜日配列も良く、国内、国際線双方ともに好調です。

加えて、期間中の個人旅行と団体旅行の割合ですが、国内線については昨年が6:4、今年が7:3、国際線については昨年が5:5でほぼ拮抗のところが、今年は6:4と、個人旅客の割合が団体旅客の割合を大きく上回っていることも特徴です。

多くのお客さまにご利用いただくこのGW期間に、JALの安全性、定時性、グッドサービスという世界最高レベルの高品質なサービスをお客さまに体感いただき、いかにJALのサービスが良質なものなのか実感いただけるものと確信しています。

次に、JALの高品質なサービスという観点で報告があります。

米国の調査会社であるオレゴン州にあるConducive Technology社が発行するFlightstatsにおいて、2009年1〜12月の定時到着率が90.95%であり、この実績が世界の大手航空会社 46社の中で世界一であることの認定を受け、また、グループ会社のJALエクスプレスはアジアの航空会社22社の中で世界一の認定を受けました。

これを受け、4月15日にConducive Technology社CEO Jeff Kennedy氏が来日し、定時到着率世界一の表彰式が行われました。

これも、日頃ご搭乗いただくお客さまに、飛行機の定時出発にご協力いただいているほか、現場の社員が高いモチベーションを維持し、運航、整備、客室、地上が一体となって定時性を意識し懸命になってくれているおかげであると思っています。これからも、世界最高レベルの定時出発と安全で快適な空の旅を提供するJALと言われ続けるために、より一層の努力をしてまいります

先般、アイスランドの火山の影響により、ヨーロッパの空港閉鎖、空域に制限がかかり、4月15日のロンドン線・アムステルダム線が成田を飛び立った後、火山灰の影響で途中まで行き成田に引き返してくるという事例を皮切りにヨーロッパ線の欠航が、以降相次ぎました。

ロンドン・パリ・アムステルダム・フランクフルト・ミラノ・ローマの各空港及び欧州域内の空域が火山灰の流入・拡散により閉鎖されたため、4/20までで55便が欠航し、約14,000名のお客さまに影響が生じました。

19日にローマの空域が再開したことを受け、ニューヨーク経由でローマへ航空機を回航、フェリーし、ローマ発成田行きの臨時便を運航し、我々1番機であったことから、多くのお客さまからお褒めの言葉をいただいた次第です。これは、ローマの空港と空域が開くであろうという情報を基に、ニューヨークに航空機と乗務員を予めに待機させ、ローマの空港・空域が再開する時刻を見極めた上で、ニューヨークからローマに航空機を回し、成田行きの臨時便を仕立てたことが、迅速な対応に繋がったのだと思います。

また、同日、モスクワ発成田行きの定期便も運航し、5日振りに欧州発日本行きのオペレーションを再開させることができました。

日本からのお客さまは出張、旅行問わず出先では想定以上の滞在となると、ビジネスはもとより、お薬の問題であったり、色々とご不自由もあったかと思います。また、日本から海外に向けてお急ぎのお客さまもいらっしゃいます。

我々としては、考えうる範囲で可及的速やかに航空機を現地に送り込み、日本に向かわせることを検討し、日本航空の総力(運乗・客乗・整備・地上)を上げて検討した結果が実ったものだと思います。こうした緊急事態が発生した際には、航空移動が必要なお客さま全てに対して、何ができるのか、このような視点も極めて重要であると考えています。

最後になりますが、機動力、現場力、創造力を徹底的に高め、基本品質である安全運航をしっかりと堅持し、且つ、採算性も十分考慮された、変化に対応できる体質を構築してまいります。私からは以上です。

日本航空 会長
稲盛 和夫

本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。

管財人の企業再生支援機構の瀬戸委員長、社長の大西と重複しますが、当社は現在、更生計画を策定しているところです。国会、国交省や金融機関、広く社会の皆さまからのご理解とご支援に対し、感謝の念に耐えません。

先日のアイスランドの火山の噴火において、初めての経験でありましたが、本当に航空産業というのは大変なんだな、としみじみと感じました。先ほど大西社長からもありましたが、難しい中で最善のプロセスをとってくれました。

また、先ほど瀬戸委員長からもありました通り、 日本の重要なインフラである日本航空の確実な再生が、日本経済、ひいては日本の国力の強化に大きく寄与することを今回の件で改めて確信し、私も粉骨邁進する日々を送っています。

さきほど、社長の大西から、特別早期退職について話がありましたが、この度、早期退職の募集、実行ということは、共に再生に取り組む社員に対し、大変厳しいことを強いた、という認識は十分あります。これまでも、長い経営者人生の中で、一度も社員を退職させたことはありませんので、殊更、その思いを強く認識しています。

また、先ほど瀬戸委員長からもありましたが、今、一生懸命改革を進めており、特に会社が厳しい、でも安全運航を確実に実施するという意識改革を進めており、私も一生懸命進めているところです。

現在、厳しい状況の中で、あらゆる社員が協力をしてくれており、本当に嬉しく思います。今後は、管財人が策定してくれている更生計画を着実に実行していく、また採算を見るように組織を良くしていきたいと思います。

まだ3ヶ月しか経ていませんが、今後は社員の意識改革に努めていきたいと思います。今後とも一生懸命取り組んでまいります。私からは以上です。

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