チェコ共和国
モラヴィア地方
伝統衣装
クロイと呼ばれるチェコの民族衣装。刺繍とレースで名高い国らしく、手作りによるたっぷりの刺繍と高度なレースの装飾が特徴だ。現代でもお祭りや伝統行事の際に着用され、鮮やかに着飾った男女によるパレードやダンスが披露されている。
女性は白いブラウス、ベスト、ペチコートを重ねたスカートを身に着け、ブーツやストラップシューズを履くのが基本のスタイルとされる。チェコ西部と東部でタイプが異なり、さらに細かな地域や集落によって独自のデザインが発展してきた。なかでも華やかな美しさで知られるのが、首都プラハより東側に位置するモラヴィア地方だ。飾り襟やボリュームのある袖、綿密な花模様の刺繍、生地にあけた穴をかがるアイレット技法のレースなど、手の込んだ意匠に目を奪われる。可憐で情熱的でロマンティック、表情豊かな赤の色彩も心に深く印象的だ。
民族衣装には各々の土地の文化や民族の思いが詰まっているものだろう。チェコの長い歴史のなかで縫い込まれ、織り込まれ、受け継がれる伝統とアイデンティティ。それは唯一無二の誇りとなって、身に着ける人々を強く朗らかに輝かせるのだ。
さあ、深情の赤を求めて。
プレッツェル
ぶどう畑
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