日本遺産を巡る旅「琉球文化」

琉球王国時代に中国の冊封使（新国王を任命するための儀礼で訪れた使節団）をもてなすために生まれた料理は、「宮廷料理」として古くから宮廷行事や宴会で振舞われていました。また、料理と一緒に提供される「泡盛」は何度も行われる選別や磨かれた製造技術が評価され、唯一無二のお酒として扱われるようになりました。琉球王国が沖縄県になってからもその伝統の技術は受け継がれ、現在も多くの家庭で親しまれています。

沖縄の伝統芸能は「宮廷芸能」と「民俗芸能」と大きく分けて２つあり、現在も劇場やテーマパークなどでご覧いただくことができます。「宮廷芸能」と呼ばれる「組踊」や「琉球舞踊」は宮廷料理と同様に、冊封使をもてなすため、主に首里城で披露されていました。「民俗芸能」は「獅子舞」や「エイサー」など、各地域の行事や祭りで行われており、沖縄らしい風景として現在も受け継がれています。

沖縄県では2000年にグスクと呼ばれる5つの城跡と4つの関連遺産の合計9か所が世界文化遺産に認定されました。沖縄のグスクは本土の城跡とは異なり、緩やかなカーブの曲線的な城壁が特徴です。琉球王国時代の伝統様式や建物群など独自の文化や中国・東南アジア諸国との交流により、本土とは異なる発展をしてきた沖縄ならではの遺跡は現在も大切に保存されています。

琉球王国時代に中国からの影響を受けた中国風の琉球料理だけではなく、ステーキやタコライスなどアメリカ風の料理も戦後にアメリカの影響を受け、沖縄料理として受け継がれてきました。数多くの国と交易をしていた沖縄ならではの多彩な料理は、歴史とともに変化しながら現在も沖縄の魅力の一つとして親しまれています。