介護が必要な⼈682万⼈ 健康寿命を延ばそう!

専門医の監修に基づいた健康情報

健康寿命と平均寿命との差は女性で約12年!

介護が必要な人682万人*1

健康寿命を延ばそう!

Vol.1 健康寿命 2023年3月31日

*1 各年度末の要介護/要支援認定者数。

(厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」/令和2年度)

監修:佐野みほろ先生

医療法人社団SanaVita 理事長、西調布整形外科院長/品川Vタワー整形外科

整形外科の診療に加え、ロコモティブシンドロームや骨粗しょう症など、加齢にともなう運動器の衰えを防ぐ治療に豊富な実績。

「大腰筋を鍛えれば一生歩ける!「ぴんぴんころり」の8ヵ条」(宝島社)、「つまずかない&転ばない体をつくる!3分間大腰筋集中エクササイズ」(徳間書店)ほか著書多数。

平均寿命は延びても、健康寿命との差は男性で約9年、女性で約12年!

日本は世界屈指の長寿国で、「平均寿命」はいまや男性81.41歳、女性87.45歳になりました。一方、健康上のトラブルによって日常を制限されずに生活できる期間である「健康寿命」は、男性72.6歳、女性75.3歳です*2

つまり、その差は「健康に問題のある期間」。実に男性で約9年、女性で約12年もの長い間、重い病気になったり、運動機能が低下したりと、日常生活に支障をきたす状態が続いてしまうのです。

そうなると、仕事はもちろん旅行や趣味、スポーツなども続けられず、自由に活動できる人生の大切な時間を満喫することができなくなってしまいます。

*2 出典:厚生労働省「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」

健康寿命を延ばすことが大きな課題

健康寿命の延伸が社会の重要なテーマになっているいま、脂質異常症や高血圧症、糖尿病などの生活習慣病と筋力低下によって起こる、転倒による骨折の予防は極めて重要です。特に高齢になってからの骨折は治りにくく、寝たきりになりがちで、認知症の心配や筋力の低下を招くリスクも高まります。

立つ、座る、歩くなどの運動機能の土台となる筋肉を鍛えるために、無理なく続けられる筋トレやストレッチを日常生活に組み込んでいきましょう。

筋肉量の減少は健康寿命を縮める大きな原因
筋肉は既に20代から減り続けます

筋肉量は、場所によっては20代がピークで、30歳を過ぎたころから減り始めます。普段あまり運動をしない人は、30歳ごろから毎年0.5〜1%程度筋力が低下するとも言われ、80歳を迎えるころには30歳前後の半分程度の量になってしまいます*3

加齢による筋肉量の減少を「サルコペニア」といい、これに肥満が加わると「サルコペニア肥満」になります。肥満は生活習慣病を引き起こしやすく、脳卒中などの脳血管疾患や心筋梗塞の心疾患の原因になります。

筋肉は使わなければ衰えますが、鍛えれば何歳になっても増やせます。筋肉を鍛えるポイントは「筋トレ&ストレッチ」と「食事」。筋トレ&ストレッチの直後にたんぱく質を摂ると筋力がアップ。さらにビタミンDも一緒に摂ると筋肉をより強く、骨密度を増加させる働きもあります。筋肉は努力を裏切りません。楽しみながら毎日無理なく続けていきましょう。

*3 「3分間 大腰筋集中エクササイズ」佐野みほろ著(徳間書店)

健康寿命は「大腰筋」を鍛えて延ばす

「サルコペニア肥満」を予防することで、姿勢のよい、健康なからだを維持することができます。そのためのキーワードは体幹を支える「大腰筋を鍛えること」。

大腰筋は上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉で、立ったり歩いたりするときに使われます。ふだん意識することのない筋肉ですが、腹筋や下半身の筋肉と共に鍛える運動で強化しましょう。

健康寿命は「大腰筋」を鍛えて延ばす

大腰筋ツイスト(目安:左右20回)

健康寿命にストップをかけるのが病気とケガ
問題のある生活習慣が深くかかわっています

働き盛り世代に忍び寄る“サイレントキラー(静かなる殺し屋)”、それが「動脈硬化」。血管が硬くなって弾力性が失われ、血管が詰まりやすくなる危険な状態です。脂質異常や高血圧、高血糖による糖尿病、肥満、喫煙などのリスク因子が重なると起こりやすく、放っておくと密かに進行して、ある日突然、狭心症、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの命にかかわる重い病気を引き起こします。

一方、認知症のなかで最も多い「アルツハイマー型認知症」はβアミロイドなどのタンパク質が脳に蓄積されて起こりますが、早い人では40代から蓄積が始まるといわれています。

動脈硬化を放置すると…

健康寿命にストップをかけるのが病気とケガ

厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」を基に作成

万が一、健康寿命が損なわれると介護が必要になります

高齢になって介護が必要になる大きな理由は、筋肉の衰えに起因する、転倒による骨折で入院を余儀なくされること。そして脳梗塞などによる後遺症で、身体機能の低下や認知症を招くこと。いまから無理なくできる筋トレと重い病気の早期発見につながる特定健診を継続していきましょう。

将来、介護が必要になったとき、 公的介護保険で十分でしょうか?

筋力の衰えや重症疾患によって健康上に問題が生じると介護が必要になります。そのときは、公的介護保険で、さまざまなサービスが1〜3割負担で利用できます。ただし、介護度によって1カ月の利用限度額が決まっており、それを超えた分は全額自己負担になります*4

よって、身体介助や家事代行などさまざまな支援の希望が、公的介護保険だけでは足りないことも少なくありません。

また、民間の介護施設での手厚いサポートを希望すると、高額の入居一時金が必要となる場合が多く、月額利用料は一般的に10〜30万円程度といわれています*5

ご本人が満足のいく介護が受けられ、ご家族の負担が軽減される。この2つが将来の安心のためのポイントです。

*4  厚生労働省「介護保険制度の概要」

*5  健達ネット「手厚いサポートには上乗せ介護費がかかる?利用上の注意点を解説!」

介護施設の人員配置基準をご存じですか?

介護施設に義務づけられた「人員配置基準」は「3:1」、つまり入居者3人に対し、最低1人の介護職員または看護師です。これで十分行き届いた介護が受けられるでしょうか?

そこで近年では「2:1」にしている有料老人ホームもあり、その場合に発生する「上乗せ介護費」は全額自己負担になります。

人員配置基準の3:1とは?

入居者3人に対し、最低1人の介護職員(または看護師)を配置することが義務付けられています。

手厚い介護を受ける場合、入居者2人に対し、1人の介護職員(または看護師)配置が望ましい。

ただし費用は高額になる場合も。

介護が必要になったときの備えは大丈夫?

将来、あなたご自身やご家族に介護が必要になったとき、安心できる介護費用が年金や貯蓄だけでまかなえるでしょうか?ご家族のためにももうひとつ安心の備え、介護保険を検討してみませんか。健康ないまが準備のチャンス!

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