小籠包、火鍋、マンゴーかき氷など、台湾には日本でも人気の名物グルメが盛りだくさん。なかでも、麺料理の豊富さといったら!スープ、具材、麺の太さや材料など、実にさまざまな種類がリーズナブルに楽しめる。

 

 美味しい麺料理は数あれど、国民的フードといえば牛肉麺だろう。牛肉や牛骨でじっくりダシをとったスープに、コトコト煮込んだすね肉やすじ肉、そして小麦の麺が入った料理だ。

 

 台湾の歴史のなかで生まれた牛肉麺。戦後、中国大陸から渡ってきた人々によって、料理の原型が持ち込まれたのがルーツとされる。台湾での発祥は、豆板醤の産地・高雄市岡山といわれ、その後、バリエーションを増やしながら台湾中に広まっていった。今では各地域、各店ごとに、こだわりの味が展開されている。

日干し手延べ麺・關廟麵(グアンミャオメン)

暖かな日差しに照らされる台南の小麦畑

 あっさりした「清燉(チンドゥン)」と、ピリ辛の「紅焼(ホンシャオ)」など、代表的なスープの味の違いに加え、細麺、粗麺(太麺)、刀削麺など、麺の種類が選べるのもチョイスのポイント。たとえば、台湾南西部に位置する台南市伝統の天日干し手延べ麺・關廟麵(グアンミャオメン)を使った牛肉麺がある。日差しの強い台南では、古来より天日干しの技術が受け継がれてきた。自然乾燥でじっくり熟成させることで、一段と小麦の香り高い麺に仕上がるという。

 

 一年を通じて暖かな気候の台南は、台湾で最も古くに開発された地でもある。オランダ統治時代に築城された旧跡を始め、風情ある旧市街や古民家、歴史的建造物が点在。オランダ、明朝の鄭一族、清朝(中国)、日本と、統治者が移り変わる各時代の建築物が混在する路地で、多彩な文化が交錯する豊かな歴史に思いを馳せることができるだろう。

旅のきっかけになる、2つのコラムを隔月で連載中!