国土は日本の約1.8倍。多くの国と国境を接し、古くからさまざまな文化が行き交ってきた地・ミャンマー。とくに料理では、中国、インド、タイといった国から大きく影響を受け、混ざりあい、独自の文化が作られていったという。

 

 そもそもミャンマーは130以上もの民族から構成される多民族国家だ。南北に長く、沿岸部や平野部、山岳部と、地域によって気候や土壌、自然環境に大きな違いがある。そこに、さまざまな歴史を持った民族が暮らすのだから、風土に根ざした食文化は実に豊かだ。

ミャンマーの茶畑

漬けた茶葉と食材を混ぜあわせる

 なかでも個性的な料理が、お茶の葉の和え物「ラペットウッ」だろう。お茶はミャンマーの人々にとって欠かせないものだ。栽培の歴史は古く、よく飲み、そして食す。そう、茶葉を食べる文化があるのだ。伝統食として国中で親しまれている。

 

 摘み取った茶葉を蒸してから漬け込み、発酵させる。そうして漬物のようにしんなりした茶葉を、ごま油などで和え、さらに、フライドビーンズ、ニンニク、干しエビ、キャベツ、トマトなど、色々な食材と混ぜて食べる。地域や季節、好みによっては、トウガラシで辛みを効かせたり、レモンやライムで酸味を加えたりと、アレンジレシピも多く存在する。茶葉の爽やかな香りと苦味、うま味があり、しっとりカリカリの食感も絶妙だ。

 

 家庭の味であり、お店の人気メニューであり、おやつのスナック、食事のおかず、来客時のお茶請けやお酒のおつまみにと、日常のあらゆるシーンで登場する名物料理。つい手を伸ばしてしまう、ミャンマーならではのユニークな一品だ。

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