霊峰富士の絶景を日がな眺めて過ごす

絶景が楽しめる宿泊施設は全国に数多ある。だが、これほどまでに見る者の心を打つ光景があるだろうか。「日本平ホテル」は、国の名勝に指定されている日本平の山頂近く。標高307ｍの丘陵地は、新日本観光地百選の平原部門第一位、日本夜景遺産認定など、輝かしい評価を受けている。それもこれも、正面にどんと富士山が鎮座するダイナミックな風景があってこそだ。

ロビーに一歩足を踏み入れれば、あまりの絶景に声も出ない。大きなガラス窓の向こうに、駿河湾と清水の街並み、折り重なる山塊があり、その上に富士山が浮いて見える。あまりにバランスよくすべてのものが配置された景色は、自然に作り上げられたものとは信じられないほど。

もちろん、全80室のほとんどの客室から富士山を見られる。ソファに座りながら、バルコニーに出て爽やかな風を浴びながら、ベッドで寛いで横たわりながら霊峰観賞することも可能だ。

夕食は鉄板焼レストランの「結久」（むく）で。巨大な鉄板を設えたカウンターに座り、焼き手の手さばきと、その背景に広がる清水の夜景を見ながら国産牛に舌鼓。忘れられない休日になるはずだ。

食材、ワイン、景色… すべてに一流を貫く

経営母体は、オーデマ ピゲやパテック フィリップといった、世界に冠たる高級時計を扱う時計店「YOSHIDA」。創業100年を超えるこの老舗が、最高峰の時計を扱うことで培ったおもてなしの心を、最高峰の「食」の提供に生かしたいと、2015年に立ち上げたのが「松阪牛 よし田」だ。一流の食を求める人にふさわしいようにと、食材は日本一の和牛と自負する松阪牛を選んだという。

料理界の重鎮・服部幸應氏監修のもと上質な素材の味を最大限に引き出した鉄板焼き、すき焼き、しゃぶしゃぶ、会席料理を提供する。松阪牛のなかでも特に手をかけて肥育された特産松阪牛の味を、まずはサーロインステーキで楽しむのがおすすめだ。

あわせるワインも抜かりはない。フランス産が中心で、ブルゴーニュのDRCだけでも約500本、ボルドーの五大シャトーも幅広いビンテージをストックしている。

これら高級食材とワインを、地上53階からの夜景を望む席でいただこうというのだ。もちろん、誰もが利用可能。舌ばかりか、心も震える体験になるのは間違いない。