巡りゆく美しい四季と共に訪れる温泉宿

北海道伊達市に位置する北湯沢温泉。峡谷を流れる長流川（おさるがわ）に沿って数軒の温泉宿が点在するのみの大自然に抱かれたのどかな場所で、北海道内でも穴場の温泉郷だ。この付近の長流川の川底は、かつて海底火山から噴出した緑色凝灰岩の岩盤が露出し、その黄色い岩の様子から「白絹の床」と呼ばれる景勝地にもなっている。

そんな自然の造形美を臨み、種類豊富な温泉を楽しめるのが「緑の風リゾート きたゆざわ」だ。打たせ湯や檜風呂などの内風呂のほか、約150坪もの広さを誇る大露天風呂、柚子湯やよもぎ湯、ラベンダー湯などバラエティ豊かな20の香り湯を満喫できる露天風呂「森の散歩湯」があり、その種類の多さに驚く。夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と季節ごとに異なる趣のなか、湯浴みを楽しめる。

そして夕食を楽しんだ後は、再び温泉へ足を運んでほしい。満天の星が夜空を埋め尽くし、昼間とはまた違う景色と心地よい夜風が長湯を誘う。「雲のない日には、肉眼で天の川や流れ星を見ることができますよ」とホテルのスタッフが笑顔で教えてくれた。今宵、星空を見上げながら、再訪を誓った。

小樽の静寂を愉しむ上質な大人の隠れ家

北海道の開拓を支えた港湾都市、小樽。なかでも大正時代に完成した小樽運河には、今も石造倉庫など歴史的建造物が立ち並び、そのノスタルジックな街並みが人気の観光スポットとなっている。

そんな観光の中心部から車で約20分。朝里川（あさりがわ）温泉郷にある「小樽旅亭 藏群（くらむれ）」は、観光地の賑わいから静寂な世界へと誘う。宿の名前のとおり、蔵をイメージし、館内の各部屋は回廊でつながっている。蔵は昔から大事なものを守る場所として存在してきたことから、訪れた人たちの“寛げる空間”を大切にするため、宿全体に意匠が凝らされている。全19部屋の客室は、内装や調度品までそれぞれ趣が異なり、家具は和骨董を中心に李朝や明朝家具が配され、漆喰や和紙張りの壁が懐かしさを感じさせる。

さらにオールインクルーシブのため、滞在中に利用したカフェやバーの飲食、客室に備えられた飲み物はすべて宿泊費に含まれている。カフェ＆バー「クラルテ」のほか、本やレコードが揃えられたライブラリーでもお酒を嗜むことができ、思い思いの時間を過ごすことができる。この宿には心潤う大人のひと時が待っている。